2018.4.10 中国5日目 ー上海ー

4月10日、中国滞在5日目。南京→上海→北京をローカル列車で移動する強行スケジュール。まだ薄暗い4:30に起床。宿泊した前の通りで列車内で食べる朝食を買い込む。店内で早い朝食を取っていた大学生くらいの男性たちが英語で日本人だ日本人と言っている。そう、日本人だと告げると、しばしの沈黙ののちに中国語で「南京の人は優しいが、西安に行ったら殴られるだろうね」と言われる。

朝6時の列車に乗り込む。車内で車掌が歯ブラシやベルトなどを乗客へ売り込むデモンストレーションが面白い(その人の演技力にも依るが)。車掌でありながら寅さんのように購買意欲を巧みに煽っていく様と、その乗客/観客たちの「まあ騙されてみるか」とでもいった雰囲気が虚構を前提とする演劇的でもあり興味深い。1時間遅延しての11:00に上海到着。普通に約束に遅刻する。

まず、アーティストコレクティブ・Zu he niaoのメンバーZhihaoに会う。中国に来てから初めて他者と自分でやり取りできる快感(中国語ではなく、英語でだけれども)。なぜ中国へリサーチに来ているのかの話をして、北京の政治的圧力を嫌って上海や広州にアーティストが流れて来ていること。上の世代と下の世代とを繋ぐコネクターとして80年代生まれのアーティストが中心となって開いた《I panda-Independent Performance and Artivists Network Development Action-》という年功に依らない、サークル的な出会いの場を運営していること。中国と日本は歴史的に文化のアーカイブやアドバンスの機能を相互に担い合っていることなど、興味深い話があった。

その後、McAMへ。2016年に招聘を受けて『たこを焼く』を上演した美術館だ。キュレーターのWeiWeiがいま開催中のエキシビションを案内してくれる。作品を介して互いのビジョンやいま当たっている課題を述べ、共有地を探す。美的構築物か、可能性としてのアートか。コマーシャリズムが氾濫している中国の現状において、若手アーティストをどう育てられるのか、など。意外とアートに対して抱いている課題には共通項が多かった。言葉は相手とチューニングを図る手段のひとつなのだなあとしみじみ感じる(当たり前の話だが)。

このあと15時間に及ぶ上海〜北京間耐久硬座列車の旅が続くが、長くなるのでその件は明日に譲る。