2018.4.6 中国1日目 ー上海 ー

作品制作のリサーチで中国を訪れている。二度目の訪中。前回は2016年、上海の美術館・McaMが呼んでくれてプレビュー段階だった『たこを焼く』を上演した。今回はフィリピンの演劇祭Karnabal2017を経て、いちおうの完成をみた『たこを焼く』を自身の手法/土地で再制作&上演してくれる表現者(必ずしもアーティストに限らない)を探すべく、上海~南京~北京~満州地方へとローカル鉄道に揺られながら探す。

中国滞在1日目、朝ごはんは滞在している周浦東の市場でニラ巻とスープ(フーラータン)、あと湯豆腐に塩味のなにかをかけたものを食す。相変わらず中国のご飯は美味しい。そして安い。5品頼んで14元(約238円)。朝食後、まず鉄道切符を買いに上海駅へいく。いま中国は清明節という休み期間で早めに切符を押さえておいたほうが良いだろうという判断。案の定長蛇の列が出来ていたが、まだ日にちにも余裕があったため南京行き(46.5元=約790円)、北京行き(177.5元=約3,017円)ともあっさり買える。比較的安い「硬座」を購入。ちなみに「立ち」という席種もあった。北京まで15時間立ちっぱなしの人もいるのか…。

その後、愛国路駅へ移動し、アートスペース定海橋互助社を目指す。この周辺は移民の労働者たちが多く住んでいるらしい。定海橋もそうした人たちと協働しながらアート作品をつくったり、知識を交換したりしているとのこと。昼ご飯を食べ、パイナップルを買い食いしながら、ふらふらと探し歩く。すると羽子板のようなもので遊ぶ女の子2人組と遭遇し、ともに遊ぶ。「定海橋に行きたいんだけれど」と伝えると案内してくれるという。小学校に入ったばかりの少女ふたりを背後から付けていく三十路の日本人たち。彼女たちが「日本人ってこういうかんじなんだ」と喋っている。いや、日本人はみんなこんなかんじではない。

連れてこられた場所は橋だった。アートスペースの定海橋ではなく、おそらくその名前の由来となった橋へ来てしまった。衒いなく笑う少女たちにありがとうと言って別れ、我々が目指していたアートスペースの定海橋へ向けて再び歩き出す。その界隈は海に近く、造船や繊維業で成っている地帯であった。定海橋は入り組んだ細い路を入った住宅密集地に。入り口が見つけられずにまごまごしていると「定海橋? ここは裏口だよ。表に回って」と言われる。見かけない若者がこの周辺に来るときにはだいたい定海橋を訪れる人という認識が近所の人にあるらしい。そのスペースの向かいではおばあさんが編み物をしている。清明節ということもあるのだろう、アートスペース定海橋は休みだった。一度上海に戻ってくる10日に改めて訪ねることにする。